オビ=ワン・ケノービ(第1話〜第3話)
『オビ=ワン・ケノービ』 ドラマシリーズ
『スター・ウォーズ Ep.3 シスの復讐』から10年後を舞台に、惑星タトゥーインの砂漠で隠遁生活を送る元ジェダイ、オビ=ワン・ケノービを主人公とした新たな物語(全6話)
2022年5月27日配信開始
配信日
第1話・第2話 5月27日(金)
第3話 6月1日(水)
第4話 6月8日(水)
第5話 6月15日(水)
第6話 6月22日(水)
Disney+ 月額990円
評価:各話
第1話 ★★★★★
第2話 ★★
第3話 ★★
総合評価
ビジュアル ★★★★★
オビワンの心理面 ★★★★★
ストーリー ★★
ディズニースタジオの大資本を投入、ビジュアル面で成功
オビワンの心理面の変化に注目
第2話・第3話と進むにつれ、小規模に。手抜き感が出る
ビジュアル面 ★★★★★
【評価理由】
▶︎各惑星のデザイン、描き分けが優れている
→ タトゥイーン、オルデラン、ダイユー、マプーゾ、etc.
▶︎画面構成(絵コンテ)が美しい
▶︎ビジュアルデザインの高いクオリティ
→ キャラクターデザイン・衣装・セット・美術・メイク・小道具・ロケーション)
▶︎CGI・特殊効果
これらの優れたビジュアルデザインは、ディズニースタジオの有する大資本によってもたらされたものと言えるでしょう(具体的な製作費は不明ですが)
ストーリー★★
【評価理由】
▶︎ 脚本の希薄さ(引き延ばし感)
▶︎第2話、第3話と進むにつれ、セットがミニマルに。アクションも小規模となり、CGIの使用も減少しているのではないか。盛り上がりに欠ける
▶︎ 他作品との整合性における疑問(特にEp.4と『反乱者たち』)ファンからは賛否両論があり得る。今後の展開によっては疑問点も解消されるかもしれません。
オビワンの心理面★★★★★
【評価理由】
▶︎能力を封印したジェダイが今後どのように変化していくのか。主人公の精神面の描写と、「ジェダイ」というコンテンツ性がリンクし、物語の起伏(起承転結)を生み、今後のストーリーに盛り上がりをもたらすと期待される。
▶︎徐々に能力を見せていく過程
※以下、作品のネタバレを含みます。未視聴の方は注意してください。
あらすじ
第1話:惑星タトゥーイン
ジェダイの能力を封印したオビワンは、砂漠で隠遁生活を送っていた。
第2話:惑星ダイユー
オビワンは、誘拐されたレイア・オーガナの救出に向かう。
第3話:惑星マプーゾ
レイアとの逃避行の過程で、かつての弟子アナキン=ダース・ベイダーと邂逅する。
物語を理解するために:必要となる前提知識
『スター・ウォーズ エピソード4/ 新たなる希望』(1977)
『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980)
『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1984)
『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)
『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002)
『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005)
物語をより楽しむために:『オビ=ワン』の理解がより深まる作品
アニメシリーズ
『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』(全7シーズン)
『スター・ウォーズ 反乱者たち』(全4シーズン)
現時点でエピソード7・8・9の鑑賞は不要なものと思われます。
ストーリー解説
隠遁生活を送るオビワンでしたが、帝国の手下である「尋問官」の1人であるサード・シスターのリーヴァが、彼をおびき寄せるため、宇宙ギャングを利用して惑星オルデランの王女レイアを誘拐させます。
尋問官たちはダース・ベイダーの部下であり、リーヴァがオビワンに執着する理由が物語の後半で明かされていくことでしょう。
おそらくリーヴァは、レイアがアナキンの娘であることを知っているわけではありません。レイアの養父であるベイル・オーガナ卿がクローン戦争時においてジェダイ評議会と親密な関係にあったことを利用したものと思われます。しかしその場合、オーガナ卿を監視対象にしていたはずです。彼が惑星タトゥイーンまで直々に助けを求めてオビワンに会ったのであれば、オビワンの隠遁先、彼の移動経路まで帝国側に張り付かれていそうなものですが。
したがって、”現実的に"考えると、レイアを利用してオビワンをおびき寄せるというアイデアを突き詰めると無理があります。
各話リアクションメモ
※鑑賞済みの読者向け
第1話 文句なし
第2話 疑問点だらけ・今後の展開が気になる・引き延ばし感が生じてくる
第3話 希薄で小規模・手抜き
第1話 文句なし
第2話 疑問点だらけ・今後の展開が気になる・引き延ばし感が生じてくる
スター・ウォーズシリーズは星ごとの描き分けに優れている。
惑星タトゥーイン(砂漠)、惑星オルデラン(森と建築)、惑星ダイユー(ディストピア的廃都市)
偽ジェダイ:味方になる動機が不明。
詐欺の手口は面白い。偽物感も視聴者によく伝わる
有名俳優を起用する意義とは?今後登場する?
リーヴァが彼を殺さないのは疑問
SF作品において、事件は星という「面」に点在しうるのに、今作においても「点」におけるイベントとして局所で収束してしまうのが疑問
オビワンがおびき寄せられるトリック:面白いが、これほどイージーに成功するなら10年間のあいだに何度でも試行回数があってもいい
力の抑制(ジェダイ)・隠匿:今作においてオビワンは、抑制していたフォースの能力を使用する
サードシスターの過去・生い立ち:気になる。なぜそこまでオビワンに執着するのか?行動原理・動機
尋問官:組織としての未熟さ・統率力に疑問
レイアとの移動:平凡
子役には才能がある
Ep.2序盤のチェイス
・エンターテイメント的失踪感+人物紹介
・惑星コルサントの広大な空間を利用:SF感たっぷり
・ウィット、ユーモア
ビジュアル面では魅力的:コンセプト段階における画面構成
レイアとケノービの仲違い:萎える
安易に顔を曝け出す・レイアの名前を叫ぶ・派手に銃を撃ちまくる
第2話は特にビジュアルへの依存度が高い
屋上での小規模な銃撃戦:視聴者の期待から程遠い
無意味なフォース・パルクール
レイアのためにフォースを使用し彼女の信頼を勝ち取る展開:もう少し大事にこの展開を使っていれば、もっと優れた物語になっただろう。ジェダイの能力を徐々に発揮していくのはよいと思う。
急にハジャが味方になるのは納得しない
敵の内部分裂によって脱出:引き延ばし
大尋問官:Ep.4の前日譚に相当する『反逆者たち』に登場するはずなので、今作と同一人物であれば死んでいないはず。しかしもし死んでいないとすれば、リーヴァが主導権を握れるはずがない。なぜならば大尋問官が覚醒したあとにリーヴァの反逆を告発するから。もし同一人物でないとすれば「大尋問官のクローンが存在する」等のギミックが想像できる。
オビワン包囲網:ガバガバ。星を包囲してもいない。本来オビワンは位置バレし追跡されるはず。
第3話:小規模
大尋問官は死んだ?:替えが効く?
オビワンはなぜレイアをフォース感応者だと断じなかった?:EP.8
オビワン大失態
マインドコントロール(ジェダイの話術)は使用しないのか:タトゥーイン(Ep.4)では簡単に使用したはず
2-3話は引き伸ばし感が強い(おそらく『マンダロリアン』のほうが壮大)
直接オルデランに向かわず他の惑星を経由するのが謎:身柄を確保したレイアを直接オルデランへ運ぶ脚本にもできたはず。そうせずに、あえて他の惑星を経由させるということは、レイアとの逃避行が継続することを意味する。(わざと障壁を増やし、ドラマを継続させる。つまり全6話という枠が最初に与えられていたのではないか)また、レイアの誘拐を企てたのは尋問官であるから、黒幕である尋問官と敵対したストーリーが継続することを意味する。
つまり全6話を通じて、レイアを守りながら尋問官(あるいはボスであるダース・ベーダー)と対決するストーリーになるのではないかと予想される。
・そうなった場合、ルークとの関係はどうなるのか。
・クワイガンとの対話は完了するのか。
またその過程において、オビワンの能力はどの程度発揮されるのか。フォースの使用、ライトセイバーの使用によるカタルシスはあるのか。スターウォーズファンが、ジェダイの活躍する物語として期待する『スター・ウォーズ』を復活させるのか。
ダース・ベイダーとの邂逅:Ep.4におけるオビワンとベイダーの再会が、Ep.3での惑星ムスタファーにおける決闘以来19年ぶりであると信じていたファンにとって、この展開は許せない。賛否両論がありそう。オビワンとベイダーを対決させる以上、よほど素晴らしい物語にしない限り古参ファンからの支持を得ることはできないのではないか。
考察
物語を通じて辿るべき1本の筋:「能力の解放の過程」
第1話:完全に封印
第2話:フォースの使用
第3話:ライトセーバーの使用
視聴者を興奮させるため・期待に応えるためにも必要
一方でオビワンの心理面を描くうえで重要
総括
★オビワンがどの程度能力を解放するのか?
第1話:惑星タトゥーイン
砂漠における、オビワンの隠遁生活が描かれる ☝︎能力を完全に封印
第2話:惑星ダイユー
誘拐されたレイアを救出に向かうオビワン
かつての弟子アナキンがまだ生存していることを知る ☝︎フォースの使用
第3話:惑星
レイアとの逃避行の過程で、オビワンはダース・ベイダーと邂逅する ☝︎ライトセイバーの使用
・オビワンの能力の解放(心理面)
・オビワンの活躍(快楽性)
『オビ-ワン』における、ジェダイの能力の使用は、オビワンの心理面を描くうえでも、娯楽性を保持するうえでも、面白い。
ビジュアル面でのクオリティの高さ
能力を封印したジェダイであるオビワンの心理面
小規模化し、引き伸ばしされた脚本
既存作(Ep.4・反乱者たち)との整合性
オビワンを観る上で辿るべき一本の筋
オビワンの能力の解放
彼の心理面がどのように変化していくか
すべてルークを守るための隠遁・能力の封印であるが
しかし肝心のルークに近づくことができない
・力の封印
・セイバーの封印
・不当な扱いを受けても逆らわない
・帝国の支配にも抵抗しない
・味方のジェダイも徹底無視
このままジェダイとしてへりくだったままなのか?
それとも何らかの高揚を見せるのか。
従来型の映画:「俺強えええ」→気持ちいい
STAR WARSの場合:能力の解放
・ライトセイバーを振り回す
・フォースを使用する
・派手なアクション →敵をたおす(Ep.1,2,3において強化)
高揚感・カタルシス
主人公が不遇な場合の典型的な展開:序盤抑える→後半盛り上がる
例 ) Ep.4、ハリーポッター
オビワンはジェダイである。
『オビ=ワン』における彼の活躍は、単に主人公個人の活躍ではなく、ジェダイという人種(?)そのものの活躍に等しい
ジェダイによる存在証明?声明発表?宣戦布告?に等しい
ジェダイが帝国に対して抗戦するというメッセージを発することに等しい
ジェダイが沈黙を破ることになる。
『オビ=ワン』の後半で盛り上げた場合、Ep.4序盤における抑制的な描写とどうつなげるのか?
Ep.4において、ジェダイは、『オビ=ワン』の第1話と同様、没落し沈黙した状態で描かれている。
『オビ=ワン』は、ジェダイの勝利として終わることはできないのではないか。
第4話〜第6話において、オビワンをジェダイとして活躍させつつ(ファンサービス)も、帝国によって反乱分子としては目をつけられずに(既存作との整合性)エピソード4につなげる、巧みなストーリーテリングが必要となる。
あるいは『ローグ・ワン』のように反乱ののろし・火種を残すか。
Ep.1~3:ジェダイの敗北・沈黙
Ep.4~6:ジェダイの勝利(Ep.7~9は知らない:あれはジェダイの物語ではない)
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